夫の定年後のことを母に電話で話した。
電話の母の声は明るく、
「そう、良かったね。就職先が決まって」
と言ってくれた。
本心はわからないけれど。
「私たちが死んだら、この家は取り壊して
ここに住んだらいいと思っているけど…。」
その言葉の前に「だからその前に帰っておいで」という気持ちがあるのがよくわかる。
私はごめんね、
と、何度も言った。
「ごめんね、あと5年待ってね」
というしかなかった。
さて、今度は部屋探しに頭を切り替えなくてはならない。
転勤族でずっと社宅住まい、持ち家なしの私たち。
なんだかんだ文句を言いながらも社宅はありがたかった。
転勤の度に住むところをあたえられたのだから。
相場よりも安い家賃で。
夫は今の仕事についてからずっと社宅なので部屋探しはほとんど初めて。
私は一人暮らしの経験はあるけれど、もうそのころとは時代が違う。
さて、どうなることやら。